コンプライアンス研修の目的とは?カリキュラムや改善方法を徹底解説!
2024.4.9公開
本記事では、日ごろから研修に携わっているみなさまへ「コンプライアンス研修」の目的や事例を基にしたコンプライアンス研修の重要性について解説します。
昨今はメディアが発達したことにより情報の伝達が早く、思わぬ出来事で会社や従業員が大きな危機に陥いる可能性があります。
コンプライアンスは「治療」ではなく「予防」が重要な研修です。
本記事が多くの企業研修の参考になることを願っています。
目次
コンプライアンス研修の目的
コンプライアンス研修とは、従業員が法規制、業界の規範、そして企業倫理を理解し遵守するための教育プログラムです。この研修の目的は、法的な問題を未然に防ぎ、企業文化を健全なものに育てることにあります。正しいコンプライアンスの知識と実践により、会社はリスクを減少させ、社会的信頼を高めることができます。
コンプライアンス研修をしないとどうなる?
コンプライアンス研修を怠ると、違法行為や不正行為が生じやすくなります。例えば、個人情報の不適切な取り扱いや、内部統制ルールの無視により、企業は罰金や名誉損失を被る可能性があります。実際、多くの企業がコンプライアンス違反によって重大な金銭的損失を経験しています。
コンプライアンス研修で会社を守った事例
ここでは、コンプライアンス体制を徹底したことによって処罰が免除された事例をご紹介します。
モルガン・スタンレー 不動産グループの場合
モルガン・スタンレーの不動産グループの上海事務所で働いていたマネージング・ディレクターが、中国の政府機関の職員に対して贈賄を行った事件が発生しました。
このマネージング・ディレクターは以下の処罰を受けました。
- 刑事罰として9か月の禁固刑
- 24万ドルの罰金の支払いと、贈賄行為によって得た利益の放棄
- 米国の証券業などへの永久的な就業禁止
一方で米国司法省は、モルガン・スタンレー 不動産グループに対しては寛大な措置を取りました。
その理由は、事件当時、従業員が贈賄を行っていないと合理的に信じられるようなコンプライアンス体制を構築していたことです。
つまり、コンプライアンス体制に問題はなかったと客観的に判断されたのです。
そして米国司法省は、米国の外国腐敗行為防止法(FCPA)違反に基づく執行措置を取りやめたのです。
この証券会社が構築していたコンプライアンス体制
① 500人以上の専任スタッフが、コンプライアンス(法令遵守)業務に専念している
② コンプライアンス部門は経営層へ定期的な報告を行う
- 贈賄防止ポリシーを策定し、従業員研修を担当するために、贈賄防止専門家を雇用
- コンプライアンス担当者は、顧客との取引やハイリスクな業務を持つ従業員を定期的に監視・監督する
- 年中無休で24時間体制の多言語対応、通話無料のホットラインを設置
⑥ モルガンスタンレーは、全従業員に対し、贈賄リスクやFCPA違反に関する特別なセクションを含む行動規範を遵守することを誓約させていた
⑦ 従業員向けに講義やeラーニングを含む研修を実施
⑧ 不適切な支払いを発見・防止するために、外部への支払いには複数の従業員が関与する承認手続きシステムを構築
⑨ 研修プログラムの継続的な評価・改善(8年間で7回の研修)
参考文献:経済産業省HP「コンプライアンス体制の構築により法人への処罰が免除された事例」
コンプライアンス研修の内容を決める方法
良質なコンプライアンス研修プログラムにするためには、法律知識、倫理規範、社内ルールを教えることが重要です。倫理規範とは、自分自身で正しい行動ができるかの基準です。実際に起こり得る問題を題材として、実例やストーリーに沿ったものを作成します。もしもの時、社員がどう動けばよいかを学べるようカリキュラムを組みましょう。
カリキュラムのラインナップ
以下にカリキュラムのラインナップの具体例を作成しました。参考にしながら、自社独自のものに改変してください。
①法令遵守
概要
- 関係する法令の概要と遵守の重要性
- 法令違反の事例とリスク
- 法令遵守のための具体的な行動指針
特徴
- 企業活動における法令遵守の重要性を理解し、具体的な行動指針を習得する
- 法令違反のリスクを認識し、コンプライアンス意識を高める
②ハラスメント防止
概要
- ハラスメントの定義と種類
- ハラスメント事例と被害
- ハラスメント防止のための企業の取り組み
- ハラスメントを受けた場合の対応
目的
- ハラスメントに対する理解を深め、適切な対応方法を習得する
- 職場環境の改善に貢献する
③情報セキュリティ
概要
- 情報セキュリティの重要性
- 情報漏洩のリスクと対策
- 情報資産の管理
- 個人情報の取り扱い
目的
- 情報セキュリティに関する知識を習得し、情報資産を保護する
- サイバー攻撃などのリスクを認識し、適切な対策を講じる
④社内規定
概要
- 社内規定の種類と目的
- 従業員の遵守事項
- 違反した場合の措置
目的
- 社内規定を理解し、遵守することで円滑な業務運営に貢献する
- 企業の風土を醸成する
⑤その他
概要
- 企業倫理
- 贈収賄防止
- 競争法遵守
- 海外進出時のコンプライアンス
- グローバル化に伴うコンプライアンス
概要
- 企業活動における倫理観を高め、適切な判断を下せるようにする
- グローバルな視点からコンプライアンスを捉え、国際社会における企業としての責任を果たす
会社に合った研修を確立することが重要
各企業の文化やリスクに合わせた研修を設計することが大切です。研修は単発のものではなく、継続的な学習として取り入れるべきです。そうすることで、企業のコンプライアンスは日常の一部となります。
研修内容の選択
研修内容を選択する際には、以下の点を考慮してください。
- 企業の規模や業種
- 経営理念
- 従業員の属性
- 企業が抱える課題
- 法令や社会規範の変化
コンプライアンス研修は、企業が法令遵守を徹底し、持続的な成長を実現するために不可欠なものです。上記のポイントを参考に、効果的な研修を実施しましょう。
コンプライアンス研修の効果を最大化する方法とは?
コンプライアンス研修の効果を最大化するには、企画設計から実施、研修後のフォローアップを丁寧に行うことが必要です。
具体的な内容を以下にまとめましたので、ご参考ください。
① 研修内容の企画・設計
- ニーズ分析:研修対象者、企業の課題、法令や社会規範の変化などを分析し、研修ニーズを明確にしましょう。
- 目標設定:研修を通じて達成したい目標を具体的に設定しましょう。
- 内容を決める:目標達成に必要な知識やスキルを習得できる内容にしましょう。
② 研修の実施
- 参加者の積極的な参加を促す:ディスカッション、ロールプレイング、ケーススタディなど、参加者が主体的に学べる手法を取り入れましょう。
- わかりやすく具体的な説明:専門用語を避け、事例を交えてわかりやすく説明しましょう。
- 双方向のコミュニケーション:質疑応答の時間を設け、参加者の疑問や不安を解消しましょう。
③ 研修後のフォローアップ
- アンケートによる評価:研修内容や講師に対する評価を収集し、改善に活かしましょう。
- 行動目標の設定:研修で学んだことを活かして、具体的な行動目標を設定しましょう。
- 定期的な確認:定期的にアンケートや面談などを実施し、目標達成状況を確認しましょう。
- OJTの活用:研修で学んだことを実際の業務に活かせるよう、OJTでサポートしましょう。
※研修効果を最大化するためには研修後のフォローアップが大切です。
参考記事:研修の実施後に何をすべきか
④ 経営層のコミットメント
- 経営層がコンプライアンス研修の重要性を認識し、積極的に取り組む姿勢を見せましょう。
- 研修への参加を推奨しましょう。
- 研修で学んだことを評価しましょう。
- 研修内容を反映した社内規定や制度を整備しましょう。
コンプライアンス研修にeラーニングを活用する方法
コンプライアンス研修は一般的な研修内容を土台として、会社の実態に合わせた独自の研修内容を組み合わせます。両方の内容が揃って、初めて正しい知識として定着することができます。そのうえで重要視されるのは、研修コストの削減と利便性です。
一般的な研修は、自社で作成するのに大きなコストがかかってしまうため、研修業者の持つ既成研修コンテンツを使うことでコストを削減できます。また、研修内容は時代とともに変化・編集するコストもかかるため、既成のコンテンツを使うことは大きなメリットがあります。
しかし、会社独自の研修に関しては、社内で内製化することが必須です。研修におけるコストを研修形式の工夫によって、削減していく必要があります。
eラーニングシステムの導入によって、会場設営の手間を省略したり、同じ研修を複数回開催する必要をなくしたりと、金銭・時間的なコストを大きく省くことができます。そして、時間・場所を制限することなく研修を行うことができるため、利便性を高めることもできます。
また、eラーニングシステムを使えば、いつでもどこでも研修を受けられる自由度があることと、テストやアンケートなどを簡単に作成・実施できるため、研修の成果として定量的なデータを取ることができます。
これにより研修効果を最大化することができます。
まとめ
コンプライアンス研修は、企業が直面するリスクを軽減し、法的遵守と倫理的行動を促進するために不可欠です。eラーニングを活用することで、従業員に柔軟な学習環境を提供し、継続的な教育を促進することができます。効果的なコンプライアンス研修を実施するためには、eラーニング研修内容の企画・設計から研修後のフォローアップまで、一連の流れを計画的に進めることが重要です。
研修を通じて、従業員のコンプライアンス意識を高め、企業全体で法令遵守を徹底することで、企業価値の向上を実現することができます。
コンプライアンス研修をするにあたって、eラーニングのシステムは非常に強力な助けとなるでしょう。
駿台グループでは、受験教育で得たノウハウを元に、現在は社会人教育における最適な学習設計のコンサルティングをしております。
eラーニングにおける研修の設計にご関心がお有りでしたら是非お気軽にお問い合わせください。
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