eラーニングとは - システム導入によるメリット・デメリット
2024.9.27更新
eラーニングの意味や利点、学習教材や学習管理システム(LMS)について解説します。
目次
eラーニングの歴史
eラーニング(e-Learning、イーラーニング)とは、おもにインターネットを利用した学習形態のことです。
いままでの集合研修にはない、多くのメリットがあります。
eラーニングまでの道のり
従来の集合研修では、
- インストラクター(先生)と受講者(生徒)が、同じ場所に、同じ時間、一同に揃う必要がある。
- 個人の修得度にかかわらず、研修の進捗は全体でひとまとめに進むため、習得に差が出やすい。
など、時間やコストの面で改善の余地がありました。
ビデオ学習など、繰り返し再生して学習する形態もありましたが、一方的な情報の提示のみで学習者側からのアクションが行えず(非対話型)、より学習効果が高い手法が求められました。
そこで、『コンピューターを利用して教育を支援できないか』との考えが模索されました。
各生徒の理解度に応じた学習の内容を状況に合わせて提示するシステムは、CAI(Computer Aided Instruction:コンピューターによる支援教育)と呼ばれ、米国をはじめ世界各国で研究が開始されました。
CD-ROMを利用した学習
eラーニングの黎明期には、CBT(Computer Based Training:コンピューターによる教育研修)とよばれる、おもにCD-ROMを教材とした学習が開始されました。
CD-ROMの大容量の特性を生かし、動画や音声などのマルチメディアを活用したインタラクティブ(対話型)なコンテンツが効果的に利用されました。
しかし、
- CD-ROMを作成するためのコストがかかる
- 一度配布してしまうと、内容の修正が難しい
- 各個人の進捗度を、一括して管理することが困難
などのデメリットから、ビデオ学習の延長線に位置する形態にとどまりました。
※CBTは上記の意味以外に、「Computer Based Testing:コンピューター上で実施する試験」の略語としても使用されています。
インターネットを利用した学習へ
インターネットの発展や企業内のネットワークの広がりと共に、さらに発展したものがWBT(Web Based Training:インターネットなどのWeb利用による教育研修)です。
CBTでは受講者の進捗情報はそれぞれの端末(クライアントコンピューター)個別に保存されていましたが、WBTではインターネットを通じてサーバー上で一括して学習履歴を管理します。
進捗情報だけでなく、学習教材をサーバー上に保存・配信することでCD-ROMなどのメディア配布が不要となり、コストを大幅におさえられます。サーバー上で集中管理できるので、プログラムの修正や学習内容の改変などが発生しても、サーバー上のファイルを変更するだけで常に最新の状態を保てます。これにより、開発・制作者は、より柔軟なメインテナンスを行うことができます。
さらに受講者のメリットとして、ネットワークに接続さえすれば自分の自由な時間に受講でき、それぞれの進捗に合わせて最新の教材を学習できます。
このようなオンラインでの教育は、現在では総称してeラーニングやICT教育と呼ばれ、集合教育のスタイルに大きな変化をもたらしています。
※「eラーニング」の日本での呼称は必ずしも統一されておらず、「e-ラーニング」「e-Learning」「elearning」「イーラーニング」など表記のゆれがあります。また、同じような用語として「Webラーニング」「ITラーニング」「ICTラーニング」「オンライン学習」など、いろいろな形で呼ばれています。
『スマホで学習』の時代へ
21世紀となり、デジタルデバイスも多種にわたり、よりパーソナルなものへと発展してきました。
- iPhone(アイフォーン)
- iPad(アイパッド)
- Android(アンドロイド)
に代表される、スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末の爆発的な普及により、モバイルラーニング(Mobile Learning、mラーニング)と呼ばれる「モバイル端末からいつでも・どこでも気軽に学習できるスタイル」がひとつの流れとなってきました。
ITを利用したコミュニケーション
教材の配信や履歴の取得だけでなく、「先生と生徒」「学習者どうし」などで情報や意見を交換できる、コミュニケーションも重要な要素となっています。
掲示板やブログをはじめ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを利用して、「一方通行ではない双方向のコミュニケーション機能」を用意することで、学習計画や学習意欲を向上・維持する効果が期待できます。
ビデオで学ぶ映像教材
インターネットの通信速度の向上や、YouTubeに代表される動画共有サービスの浸透により、ビデオ動画で学ぶ映像教材も主流となってきました。
静止画では表現しきれない高い表現力は、操作や実技を学ぶ際に特に有効な手法となります。
また、講義や授業、プレゼンテーションを撮影して教材として2次利用することで、コストを抑えつつeラーニング教材を作成できます。
eラーニングとは?
eラーニングのメリット・デメリット
管理者(企業の教育担当者、先生など)
メリット
- 受講者の進捗管理が自動的に処理されるので、チェックや集計が迅速かつ一括で行える。
- サーバーの教材やプログラムを更新するだけで、迅速かつ容易に修正を行える。
- 規模が大きくなるほど、集合研修と比較してコストがおさえやすい。
デメリット
- ハードウェアやソフトウェア導入など、イニシャルコストがかかる。
- 学習教材の作成に、技術や手間が必要になるケースがある。
- 対面ではないため、効果が実感しにくい。
受講者(社員、生徒など)
メリット
- 職場や自宅など、場所を問わず学習できる。
- 自身の修得度に合わせて、受講者のペースで学習できる。
- 書籍と比べ、動画や音声によりわかりやすく理解を深めやすい。
- 講師による差がなく、一定レベルの講義を受講できる。
デメリット
- いつでもできるため、学習意欲やモチベーションを維持しにくい。
- スポーツや習字など実技がともなう学習では、対面学習に劣る。
eラーニングに必要なもの
学習管理システム(LMS)
eラーニングを導入するにあたり、教材ごとに管理プログラムをつど作成するのは非効率的であり、学習状況のデータにもばらつきが出てしまいます。
そこで、ソフトウェアを動かすOS(オペレーションシステム)のようなプラットフォームとして学習管理システム(LMS:Learning Management System)をサーバーに用意すれば、統合された学習環境が準備できます。
LMSを利用することで、
- 教材ごとにプログラムを作成する必要がなく、大幅にコストが削減できる。
- プログラムやシステムに詳しくなくても、LMSを利用してeラーニングを実施できる。
- 学習教材や進捗状況など、あらゆる情報・リソースを一元化して管理できる。
など、多くのメリットが生まれます。
LMSのおもな役割は2つあります。
学習者と教材の管理
学習者の登録や編集、学習教材のアップロードや設定を行います。
また『マネージメント教材を来月のはじめから公開しよう』『新入社員や就職内定者だけに、ビジネスマナーの教材を受講させよう』など、受講する教材と学習者を割り当てる役割もあります。
学習者の進捗状況の管理
『どの教材を完了したか』『テストは何点獲得し、合格したか否か』など、各種情報を管理者が一元的に把握できます。
参考記事:LMS(学習管理システム)とは?社内研修で本当に活用できるLMSを選ぶ方法
学習教材
eラーニングを運用する環境(インフラ)をLMSとして準備した次は、学習教材(学習コンテンツ)が必要です。たとえ高価なシステムを導入しても、学習効果のある教材がなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。
学習教材は、目的によりいろいろな種類があります。
- 画像やテキストによる解説教材(スライド型教材)
- 映像による解説教材(ビデオ型教材)
- テスト問題(演習型教材、ドリル教材)
もちろん上記を組み合わせて実施もできます。
学習教材は、オーサリングツールと呼ばれる編集用のソフトウェアで作成するのが一般的です。
学び~とは、学習教材を作成できる機能を標準で搭載しています。そのためほかのソフトウェアを使用することなく、学び~とのみで教材、テスト問題を作成できます。
学び~とは、クラウド型の学習管理システム(LMS)です。駿台100年の教育ノウハウと最新の技術を結集し、使いやすさを追求しました。
クラウド(オンライン)サービスのため、導入の手間はありません。シンプルで簡単な操作なので、企業内研修や授業の補助として幅広くご利用いただけます。
学習者への支援
近年重要視されているのが、学習アドバイザー、チューターと呼ばれる学習者を支援する人たちの存在です。
学習アドバイザー:おもに学習者のトータルケアを行う
チューター:教材の内容に関する質問を回答、サポートする
eラーニングによる継続的な学習は、個人のモチベーションを高く維持することが大切です。しかし、すべての教材を完璧に作成することは難しく、説明もれがあったり、人によっては理解できない場合もあります。
解消できないでいると、以降の学習意欲や理解度が低下してしまい継続することが困難になります。このような事態を防ぐために、学習者の質問に答えたり、学習者を励ましたりする人の存在が重要です。
学び~とは、受講者と管理者(学習支援者)で連絡できる問い合わせ機能を標準で搭載しています。
eラーニングのおもな用語
SCORMとは
SCORM(スコーム:Sharable Content Object Reference Model)とは、システム(LMS)と学習教材の間での通信を共通化するための、eラーニングにおける世界標準規格です。
SCORMは、映像再生でいえばDVDやBlu-rayという規格に例えられます。DVDやBlu-rayなどの「決まった規格」があるため、どの映画やドラマも問題もなく楽しむことができます。これを規格外で作成してしまうとプレーヤーが解釈できず再生できないため、困ったことになってしまいます。
「SCORM規格のLMS」と「SCORM規格の学習教材」があれば、自由に組み合わせて学習履歴を取得することができます。
※学び~とは、SCORM 1.2に準拠した教材に対応しています。
ブレンディッドラーニングとは
eラーニングだけを活用するのではなく、既存の学習形態などと組み合わせた教育手法は、ブレンディッドラーニング(Blended Learning:ブレンデッドラーニングとも)と呼ばれます。(ブレンド=異なる種類を混ぜ合わせる融合型)
eラーニングだけでは、すべての環境での最善策にはなりえません。従来型の対面型授業、人と人との授業と併用することで、教育効果の相乗効果も生まれます。
最適なシーンで最適な方法を選択することが、これからのICT教育の重要なポイントです。
参考記事:ブレンデッドラーニングとは
人材教育とは
経営を支える要素は数多くありますが、大切なひとつとして人材教育があげられます。eラーニングといわれると「学校」を連想しがちですが、企業にとってもビジネスを成功させる大切なキーワードです。
企業研修や社員教育の低コスト・高品質を実現するには、従来の方法だけは現代のスピードについていけません。
eラーニング/ICT教育では、デジタルデバイスを有効活用し、学習結果の数値化や定量化が柔軟に行えます。そのため、企業全体のスキルのボトムアップで特に威力を発揮します。
学び~とでは、企業でのeラーニングの実施を想定し、小規模から大規模まで利用できる幅広いプランをご用意しています。
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