LMS(学習管理システム)とは?
社内研修で本当に活用できるLMSを選ぶ方法

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LMS(学習管理システム)とは?社内研修で本当に活用できるLMSを選ぶ方法

近年、働き方改革やデジタル化の推進により、企業におけるeラーニング導入が加速しています。eラーニングを効率的に実施するために必要不可欠なのが、LMS(学習管理システム)です。本記事ではLMSの基本機能から、社内研修でLMSを活用するための選び方のポイントまでご紹介いたします。

LMS(学習管理システム)とは

LMS(学習管理システム:Learning Management System)とは、学習教材の配信や学習状況の管理など、eラーニングに必要な機能を統合して管理するプラットフォームシステム(※1)です。
インターネットが普及してからしばらくの間はオンプレミス環境(※2)で自社専用のLMSを用意することが一般的でしたが、コロナ渦を経て現在ではサブスクリプション型のクラウドサービス(※3)を提供する企業も増えています。

オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミスとクラウドの違い

※1 プラットフォームとは、サービスやシステムを運営するために必要な「土台(基盤)となる環境」を指します。
※2 自社で保有しているサーバにソフトウェアやアプリケーションをインストールし、社内ネットワークのみで利用することをオンプレミス環境と言います。
※3 クラウドサービスとはインターネットを経由してユーザーに提供されるサービス形態のことです。オンプレミスの対義語としてよく用いられますが、現在ではクラウドサービスが主流となっています。

eラーニングとLMSの違い

皆さんの中には「LMS = eラーニング」とお考えの方もいるのではないでしょうか。そもそもeラーニングとは、インターネットを利用してコンテンツを学習する行為そのものを指す言葉です。そのため一口にeラーニングを実施したいと言っても、「受講ユーザーの学習状況の確認・管理はどうするのか」や「受講者用の教材・学習コースをどのように設計・提示するのか」など、運用にあたって検討すべき事柄が多く、これらが大きなハードルになっていました。
そこで上記の問題を解決するために開発されたのがLMSです。ユーザーや教材管理など必要な機能を予め搭載したLMSというプラットフォームが登場したことで、現在のように簡単かつ一元的な学習の管理が可能になりました。

LMSの主な機能と最新動向

一般的にLMSでは学習者用と管理者用のサイトが分かれています。ここではそれぞれの基本的な機能と近年のLMS注目トレンドをご紹介します。

学習者用の機能

学習者用のサイトでは、一般的に以下のような受講者の学習に特化した機能があります。

  • 学習機能(スライドや動画コンテンツの閲覧/テスト/アンケート)
  • 課題(レポート)提出機能
  • 教材受講申請機能
  • 受講履歴確認(成績表示)機能

管理者用の機能

管理者用のサイトでは、基本的に受講者機能よりも多くの機能がついています。eラーニングに関わる全ての情報を一か所に集約して管理できるようにするためで、これによって煩雑になりがちな管理業務を効率的に実施することが可能になります。

  • ユーザー管理
  • 教材作成・配信
  • 課題管理/採点
  • お知らせ・メール配信
  • 進捗状況・受講履歴管理

社内教育活用における近年のLMS動向

LMSはインターネット上で社内教育を管理するという性質上、教育業界とIT業界それぞれの影響を受けて日々進化しています。その中でも現在は、特にこの3つのトレンドが注目されています。

アダプティブラーニング

アダプティブラーニングとは、個々人の学習状況や学力に合わせて最適な教育を提供する学習方法を指す言葉で、通常の画一的なカリキュラムよりも効率的かつ効果的な学びの実現が可能と言われています。文部科学省の「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性(※4)」で着手課題として挙げられ、学校教育をはじめとした教育業界において非常に注目されています。ことLMSにおいても、学習者の理解度に合わせた受講教材を提供したいというニーズが増えており、コースの分岐学習などアダプティブラーニングの要素を取り入れたLMSも出ています。

データ活用による学習分析

LMSでは受講者の細かい学習データの取得が可能です。アフターコロナの現在、教育機関へのタブレットやeラーニングの普及を受け、蓄積された学習履歴の分析や教育への活用が注目されています。これまでも問題別正答率を活用した問題分析などは行われてきました。しかしそれだけではなく、学習時間や問題への回答にかかった時間といったより細かいデータを分析し、個人の苦手把握や学習フォローに活用する方も増えています。

多要素認証

第1章でご紹介したように、他のアプリケーションと同様にLMSもクラウドサービスが主流になっています。いつでもどこでも学習できるというメリットがある反面、受講IDの所有者(本来の学習者)以外がログインしていても判別できないといった問題点もあります。また社内教育eラーニングの特性上、社外秘など機密情報が入っているケースが多いということもあり、安全性を担保するため、顔認証機能やアプリを利用した二段階認証などの多要素認証機能を取り入れるシステムも出てきています。

LMS導入のメリットは?2つの側面から紹介

LMSには、いつでも何回でも受講できるなど、たくさんのメリットがあります。学習面、管理面からそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。

学習面のメリット

①インターネットにアクセスできる環境であればいつでも学習ができる。

LMSを利用するうえで一番に浮かぶメリットが「いつでも学習できる」ことです。ほとんどのLMSがスマートフォンやタブレットに対応しているため、移動中など受講者の手が空いたタイミングで場所や時間を問わず学習することが可能です。

②何を学ぶべきか明確に分かる

LMSでは、受講者が学ぶべきコンテンツは管理側で個々の所属部署や持っている属性に合わせて配信制御されています。そのため、学習者はシステムにログインすれば、そこには自分が学ぶべき教材だけがシステム上に展開されており、どう学習すればいいか迷うことはありません。

③自分のタイミングで何回も再学習することが可能

対面研修では講師からの研修は1回しか受講できません。復習しようにも一回ではなかなかすべての内容を覚えきれないのではないでしょうか。しかし、LMSを活用することでいつでもどこでも繰り返し正しい知識の再学習を行うことができ、自学自習をアシストしてくれます。

管理面のメリット

①研修準備・実施にかかる負担が軽減

一度LMS上に作成した教材は削除しない限りシステム上に保持され続け、再利用が可能です。また、システム上で教材やコースの複製機能がついていることも多く、年度更新の際にも必要なページの差し替えだけで済むため、研修準備にかかる時間と労力を大幅に削減することが可能です。

②教育の標準化で質の高い研修を実現

従来の研修では、同じ教材を使用しても指導者によって研修内容の質にバラつきが生じるという課題がありました。しかし、LMSでは全員に統一された教育を行うことが可能なため、同じレベルの知識やスキルの習得が可能になり人材育成を効率化することが可能です。

③学習データを活用することで個別フォローが可能に

前述したようにLMSでは学習データが全て記録され、システム上で可視化されます。そのため、理解度や進捗状況が芳しくない受講者など必要な人材にピンポイントで個別指導やサポートを実施することが可能になります。
実際に弊社の顧客企業では、LMSの学習データを活用することで従業員の退職率のお悩みを解決された事例があります。LMSを導入後、退職者と現職社員を比較すると、直近6ヶ月の自由学習コンテンツの修了率が40pt以上低いというデータが出てきたのです。そこで毎月末グループリーダーが修了率をチェックし、低スコアの従業員には個別に面談を実施するように対策を行ったところ、従業員の3年定着率が50%から60%超までアップしました。

LMSの選び方-導入前の検討事項とシステム比較ポイント

2020年以降、コロナ禍を背景として法人向けeラーニングの市場規模は年々拡大しており(※5)、中小企業でもeラーニングの導入が進んだことにより、新規参入サービスが増加し過当競争が激化しています(※6)。このような現状の中で、何の準備もなく資料請求サイトを利用すると大量に資料が届いてしまい、LMSについてあいまいなまま安易にシステムを選んでしまい結局上手く活用ができなかったなど失敗してしまいます。
そこでこの章ではLMSを選定のするうえでの基準設定とシステムの比較ポイントを見ていきましょう。

eラーニング市場規模推移・予測
eラーニング市場規模推移・予測(※5)

LMSを選ぶ前に決めておくべきこと

LMSを導入したいと思った時、前述したようにいきなり資料請求サイトを使ってしまうと、大量の資料が届いてしまい比較が大変になったり、そもそも比較の基準となるポイントが分からずなんとなくシステムを選んでしまったりといったお話をお客様からよく耳にします。ここではこのような失敗をしないために押さえておくべき2つのポイントをご紹介します。

LMSを使って何をしたいのか、何を教えたいかを具体的にする

まず1つ目は「LMSを使って何をしたいのか、何を教えたいかを具体的にする」ことです。これは私たちコンサルタントがLMS導入のご相談を受けるときに、お客様にまず伺う内容でもあります。LMSにはさまざまな機能があり、教える対象の範囲や学習内容よって最適な運用も変わってきます。そのため、「誰に何を教えるか」を考えることで、自分たちのLMSにとって必要な機能や何を重視して選ぶべきかがおのずと決まるのです。

システムの情報収集

LMSで何を教えたいかが定まったら次に「システムの情報収集」を行いましょう。ただし、教育ツールという特性上、LMSは特に資料だけでは判断できない部分が多いシステムです。導入の予定がなくてもeラーニングコンサルタントが相談に乗ってくれる会社もあるので、ただ資料請求を行うだけではなく、気になることはまず聞いてみることをおすすめします。

これら2つを実施したら、利用目的と収集した情報をもとに予算や導入計画を立案し、システムの選定に入ります。

比較ポイント

システムを選ぶとき一番悩むのがどのように比較すればいいのかではないでしょうか。ここでは特にお客様が重要視される3つの比較ポイントをお伝えします。

システムの使いやすさ

LMSを利用して教育を行う場合、受講や管理がしやすいデザインになっていることが重要です。実際に弊社のお客様のとある自動車会社様では、当初コストを優先してシステム導入をされていました。しかし担当者の教材作成の負担が大きかったことや、受講者からUI部分での不満のご意見が重なったことで、最初の導入から1年後にリプレイスが決定し弊社に再選定のお声がけを頂いたということがありました。このように折角LMSを導入しても教材作成や管理に余計な工数がかかり、挙句運用がうまくいかずリプレイスになってしまってはもったいないですよね。

どれだけのデータが取れるか

LMSの一番の価値は、学習したデータが細かい部分まですべてシステム上に残ることです。前述したようにこれらの記録をその後の研修に活用していくためにも、何のデータがどこまで取れるのか、いつまでシステム上で保持されているかはチェックが必要です。

導入後のサポート体制

LMSに限らず多くのサービスでは導入までは手厚くサポートしてくれていたのに、一度導入してしまえば後はおざなりになってしまうということが往々にして起こります。例えば勤退システムのように使い方が基本的に変わらないものであれば勿論それでも問題ないでしょう。しかし、LMSは教育ツールです。最初は新入社員研修だけに使っていたけれど、今後は全社的に様々な人を対象に教育をしていきたいなど途中でニーズが変わることもありえます。そういった時に困ってしまわないように、事前に導入後の問い合わせ体制や導入支援の内容などは確認しておきましょう。
学び~とではお客様ごとにコンサルタントがつくため、導入後何年たっても、いつでも運用のご相談を頂けます。

まとめ

LMSは、eラーニングを効率的に実施し、人材育成を加速させるための強力なツールですが、自社の社内体制や教育方針にあったシステムを選ばなければ十分な力を発揮できません。ご導入をご検討の際には、是非上記のポイントを参考に、自社に最適なシステムを選定していただけると嬉しいです。
また、弊社は駿台グループの一員としてお客様の教育課題を解決すべく、eラーニングやLMSに関する無料相談や教材作成支援なども行っております。少しでもお困りごとがございましたら是非お気軽にご相談くださいませ。

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