これからの製造業界…
社内教育や研修における課題とは
2025.6.10公開
安全作業と高い生産性、さらに高品質が求められる製造業において社員教育は非常に重要です。拠点は各地にあり教育対象となる社員も全国に。製品は高性能・複雑化していきますし、求められる品質基準も上がり続けます。教育効率を最大化するにはどうすれば良いか、一緒に考えていきましょう。
目次
記事の概要
従業員に安全な作業をさせること、高い生産性を維持し大量に良品を生産することは本来両立が難しいことです。また、工場は日本全国、場合によっては世界中にあり、全社員に標準的な安全教育や作業トレーニングを実施することは本来非常に困難でした。ですがデジタルの教材やオンラインでの学習管理を活用することでこれらの課題を解決することが出来ます。本稿では製造業での教育課題とその解決方法、これからの社員教育に関して解説していきます。
製造業は「現場」を重視する
製造業は「現場」を大事にします。製品が実際に作られる場所は、品質・効率・安全性を左右する重要な場所で、ある種「神聖」な場所でもあります。しかしそれが故に盲目的な現場至上主義に陥ることも珍しくありません。
製造業で大事な「三現主義」。しかし…
製造業の会社で、「現場」「現物」「現実」の「三現主義」を基本的な行動指針にしている会社は多くあります。こうであるべき、こうなるはずだ…という机上の空論では現実を変えることはなかなかできません。現場に足を運び、現物を手で掴み自分の目で見ることで多くの気づきがあります。
この考えや行動指針は素晴らしいものですが、これが過剰に振れると教育にまで影響を与えることがあります。現場での学びが至上、学びは全て現場で現物を使ってやるものだ、というものです。詳しくは後述しますが、教育の効率向上や標準化を考えると「教育の現場主義」はマイナスに作用する可能性があります。
なんでも「現場で覚える」が最適なのか
現場での学びは非常に価値の高いものです。現場でしか学べないことも多くあります。しかし全ての教育が工場のラインに入ってから、である必要はありません。むしろ工場の設備・機器、さらに製品に関する「知識」は、事前にインプットされていた方が現場での学びを濃密に、効率よくすることができます。
工場内での教育では横に常にトレーナー役の社員がつくことも多いでしょう。完成された標準作業者で優秀な作業員でもあるトレーナーの時間を無駄にしない為にも工場に入場する前の「予習」が実は製造業の社員教育では重要なのです。
世界中にちらばる巨大な生産拠点
製造業の各工場は、ひとつの工場に数千・数万の従業員がいることも少なくありません。そしてその工場が日本全国にあったり、場合によっては世界中にあったりします。数も多くエリアもバラバラな社員達に等しい知識を与えるにはどうしたら良いでしょうか。
社員は日本中、さらには世界中に
製造業では工場が複数ある場合が多いです。製品の種類や生産量に応じて、最適な規模や設備の工場を使い分けることで、効率的な生産体制を構築できますし、消費地に近い場所に工場を配置することで物流コストを下げている会社もあります。ですが、一番大きいのはリスク分散でしょうか。複数の生産拠点を持つことで災害やトラブルで生産がストップした工場があったとしても、他の工場の生産を増強することで必要生産量を賄うことができます。
しかし、生産拠点が多くなることで「全ての社員に同じ知識を」与えることは難しくなっていきます。現場での教育、対面でのOJTに固執せず、eラーニングなどWebを介して繰り返し学べる教材で知識教育をするのがベターでしょう
一拠点当たりの社員数も膨大に
加工工程、組み立て工程、検査工程、梱包・出荷工程…ひとつの工場の中にも多くの工程があり、結果多くの従業員が働いています。数千~数万、自動車製造の大工場では10万人を超える従業員が一拠点にいる場合も多くあります。多くの従業員に標準的な教育を実施するには「現場で全て教える」では無理があります。安全に関する教育など、製造業では他業種以上に「必ず全員に学ばせる」教育が多く、いかに教育を広く展開し学習管理をおこなっていくかは非常に重要になってきます。
進化し続ける技術。複雑化し続ける生産工程
自動車が危険を感知してブレーキをかけたり、障害物を避けたり、他の車との車間距離を考えてアクセルを加減したり…これらがごく当たり前になるなんて、20年前に想像したでしょうか?製造業における「技術」は革新的に向上しています。製品も非常に巧緻になり、生産工程は複雑化しています。なのに社内教育だけ「このまま」で良いのでしょうか?
製品の進化は止まらない
自動ブレーキ、レーン検知が当たり前になってきた自動車も、「レベル5の完全自動運転」が実現されるまで進化は止まらないでしょう。そしてその後も飽くなき技術探求が続けられていくことになるかと思います。製造業の技術の進歩はロマンであり人類の叡智の結晶と言っても過言ではありません。ですが、技術が進歩すればするほど工場の製造工程は複雑になり、従業員は覚えることが多くなる…ここは避けては通れないところです。現場で見て、一度で覚えるというのは難しくなってきて、いかに事前学習させるか、知識定着の為に繰り返し学習させるかが重要になってきます。
品質管理もより厳しくなっていく
センサーは、自動運転の実現にも不可欠なものですが、その感度や精度は日進月歩で進化しています。5年前に許容された精度は現在では許されません。昨今、以前には無かった高い製品パフォーマンスを求められながら耐久性に関してもよりハイレベルなものを求められる傾向にあります。それをクリアする為の厳しい品質管理と製品検査を各社おこなっていますが「手順」も重要です。正しい手順を理解させ浸透させるには教育が必要で、あるべき手順を徹底させるには繰り返し学ばせることと、理解度をテストすることが効果的です。学習管理システム(LMS)を使えばどれくらい繰り返し学んだか、理解度は社内基準をクリアしているか、が自動記録されます。こういったシステムを活用することも品質・手順を守る為に有効と言えるでしょう。
LMSについてもっと知りたい方は
まずは資料請求!自社の製品・技術をいかに教えるか
社員教育と言うと何が思い浮かぶでしょうか。社外のセミナーや外部講師による研修もそうでしょう。ですが、自社製品に関すること、製品の製造に関することは自社でしか教えられませんし他人に任せることは出来ない心臓部です。これを効果的に学ばせる為には何ができるでしょうか。
自社製品のことは他社が教えられない
製造業の社員向けの教育を、研修事業や有料のセミナーとして実施しているサービスがあります。プロの講師による研修や分かりやすく聴講しやすいセミナーはうまく活用すれば相応の教育効果が得られます。ですが、最も重要な教育はなんでしょうか。それは、自社の製品やその製造に関する教育ではないでしょうか。同種の製品でも製品特徴は各社で違い、製造工程も別物です。製品の中身に関することや製造工程そのものが機密となっている場合も多いでしょう。こういった核心の教育は第三者に委ねることはできません。だからこそ自社の社員が自社の社員に教えるか、その教育を「アーカイブ化」(デジタルの学習コンテンツにする)してセキュアな環境内で社員だけに受講させる必要があるのです。
「世界でひとつだけの教材」の価値
自社の製品や製造工程などを社員にしっかり教育することは製品の品質・生産性を上げる為に非常に重要です。また、その教育をアーカイブ化できれば、多くの社員に繰り返し学習させられるので、それは貴重な教育資産と言えるでしょう。
この「世界でひとつだけの自社オリジナル教材」の価値は、実は「汎用的な教育」でも発揮されます。たとえば製造業における安全教育は、業界内である程度汎用化された教育ではありますが、仮にKY(危険予知)をさせる為の教材を自社の工場内の実際の景色や作業の実例を使って製作したらどうでしょうか。社員からすると身につまされる、「我が事」の教材として特別なものになるでしょう。
管理職教育も、実際の社内の昇進の実例とともに求められる管理スキルを示したらどうでしょう。社員の目の色が変わるのは確実です。
事実、国内のトップメーカーでは、このような「世界でひとつだけの自社オリジナル教材」を活用して社員の学習意欲や没入性を高めている事例が非常に増えてきています。
製造業での社内教育事例
エスエイティーティーがコンサルティングしたお客様での事例をひとつお伝えします。
株式会社ホンダアクセス様では、製品や製造に関する学習に加えコーポレートガバナンスの周知徹底のために、定期的に社員を集めて冊子を読み合わせる全体学習をおこなっていましたが、思うように学習効果が上がりませんでした。
教育・学習は繰り返しやらないと身につきませんし日々の仕事、目の前の作業に追われ後回しになりがちです。この企業様ではeラーニングによる理解度テストを導入し、学習効果の「見える化」をおこないました。
eラーニングを使えば誰がどれくらい理解しているか人事側で評価できますし、社員たちからしても「自分がどれだけ理解しているか人事側にはっきり見える」という意識効果が発生します。さらにeラーニングシステムから個々人の受講状況やテストの点数に合わせたメールが自動で飛びますので、コーチング効果も発生しました。結果、受講期間である3週間で全体の97.7%が受講完了するという過去最高の受講率を出すことが出来ました。
eラーニングシステム(LMS)は運用設計によって複数の学習効果を出すことができます。LMS上の運用設計は「LMSの中に絵を描く作業」とも言われ、最大の効果を出すには多少コツも要りますので、経験豊富なベンダーに相談すると良いでしょう。
これからの製造業界。求められる教育とは
製造業で求められる社内教育は質も量も上がっていく傾向にあります。教育は全て実際の工場内で、という訳にはいかず、全国にいる社員にいかに標準化した教育を展開できるかも大きな話題となっています。
教育は現場でも現場の外でも
技術の進歩は、社内教育で教えるべき内容の大幅なボリュームアップにつながっています。今や製品や製造に関する全ての教育を、全て工場に入ってから覚える、というのは現実的ではありませんし、社員の負担も非常に大きくなってしまいます。
工場内の実際の製造工程じゃないと学べないものは現場で、逆に事前に覚えておくと現場で活きるものはなるべく教えこんでおいてから現場に入らせた方が効率的です。eラーニングであればスマートフォン一台あれば現場に入る前にやるべき事前学習が手軽にでき、工場内で実際の作業をおこなった後に振り返りの学習をすることもできます。特に安全教育は繰り返し学ばせる必要があり、eラーニングを活用すると定期的な安全教育も容易に実施できるでしょう。
全国の社員教育を標準化
全国の拠点に散らばる社員に対して全員に等しく教育を実施するのは多くの企業の悩みですが、製造業の場合、たった一人の社員が「知らなかった」為に非常にインパクトのある事故やリコールにつながるリスクがあります。これを防ぐには教育の標準化が求められますが、全国の工場で集合研修や対面教育を徹底するとなると、拠点数が多く一拠点あたりの社員数の多い各メーカーにとっては大変な手間とコストになります。こちらもeラーニング等の「Web上での学習」「オンラインでの学習」を活用することで問題の解決を図ることができます。いつでもどこでも学べる環境は品質向上や生産性アップ、そして安全教育の徹底に対しても大きな助けとなるでしょう。
製品の進化・複雑化に対応する為に
技術の進歩は様々な製造工程の巧緻化・複雑化につながり、ひいては製造業に携わる社員が理解していなければならないことを増加させることにつながっています。ひと昔前に比べ、同種の工業製品に使用される部品は圧倒的に増え、求められる品質基準も高まる一方です。そしてその製品にも技術にも自社だけの独自性があります。これらに関する知識はメーカーが社員に理解させたい核となる教育ですが、工場の現場で学ぶべきものと、現場に入場する前に学ぶべきものに分かれるというのが、製造業での社員教育における最新の考え方です。
そして現場に入場する前に学ぶべきものは「教材化」(コンテンツ化≒教育資産化)して多くの社員に繰り返し学ばせる、というのがトレンドとなってきています。
自社独自の製品と自社独自の製造工程・品質基準。これらを理解させる為の教材は自社の中で生み出すしかありません。教材は紙の教材でなくデジタル教材化しeラーニングシステム(LMS)から配信すれば、「誰がどれくらい学んだか、理解度はどれくらいか」が自動記録され、見える化されます。工場の中で実際に見て触れて動かして体験しないと覚えられないものは無数にあります。その実務習得を助け、技術伸長に寄与する教材を生み出す必要があります。
まとめ
製造業は進化し続ける技術の世界の中にいます。品質向上・生産性向上を両立させつつ安全に作業することが求められるメーカーの社員は学ぶことが多く、さらに人事からすると全国の社員に周知徹底することも大きな課題となってきます。
これらは教育内容の中で「知識教育」に相当するもの、言い換えると「現場に入る前に覚えておいた方が良いこと」をeラーニング化することで課題解決に近づきます。
自社の製品、ものづくりに関するノウハウを世界でひとつだけの「教材」に出来れば、その教材は、多くの社員が繰り返し学び技術習得を助ける「資産」となって会社に貢献し続けてくれます。旧来の感覚にとらわれず、多角的な社員教育を設計することが成功の鍵と言えるかもしれません。
社内教育設計へのご関心がお有りでしたら是非お気軽にお問い合わせください
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※本稿におけるLMS(learning management system)は、SATT製『学び~と』を想定しています。


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